SPA企業というものをご存じでしょうか?
素材調達・企画・製造・販売や在庫管理などの工程を全て自分達で行う企業のことです。
日本では「ユニクロ」「良品企画」などがこのSPA企業なので、これらの企業を通してSPA企業という言葉を知った人も多いと思います。
しかし、このような言葉が発生するよりもずっと以前から、これまで取材してきた「老舗」の多くが商品ができるまでの全ての工程を自ら行っていました。
それこそがクオリティの維持へと繋がり、消費者からの「信頼」へと繋がっていたのですね。
今回は総本家更科堀井の堀井さんからのご紹介で、浴衣の老舗竺仙の5代目当主小川さんにお話をお伺いしました。

◆創業天保13年 竺仙

 初代仙之助さんは俳句がとても好きな方だったそうで、俳句の同人会に入っていたそうです。 そして同じ同人会の歌舞伎役者に衣装として浴衣を作ってあげたところ評判が良く、そこから「竺仙」の歴史が始まったのだとか。 当時、柄のついている浴衣が少なく無地、絞りの浴衣が全盛でしたので、しゃれた柄のついた浴衣は新鮮でした。

ちなみに「竺仙」とは初代仙之助さんの背が低かったため、ちんちくりんの仙之助、ちくせん
当て字をして竺仙の屋号で呼ばれていたことが由来だそうです。
名付け親はなんと名優 市川左團次!

「古代型新染浴衣」という劇の中で竺仙さんが出てくる場面があるほど、竺仙さんと歌舞伎の世界は切っても切り離せない関係だったのですね。

◆独創的なデザイン

竺仙の浴衣の模様が伝統的であり、かつ独創的なものであることは、一度でも見たことのある方ならお分かりいただけるでしょう。

初代の仙之助さんには、こんな逸話が残っています。

その頃は浴衣だけでなく着物も作っていたそうで、 仙之助さんが作った三枚重ねの着物を着た男性が宴席の余興で一枚ずつ着物を脱いでいったそうです。

「明治に唯一人の気障(きざ)として名高き男の、或年の首め、小紋縮緬の三枚着といふを作りひることあり。上は一面の粉雪にて、中は雪ややあらく、裾に藪柑子(やぶこうじ)を急がき、下は淡雪のおおきなるが斑に降積み、狗の子二匹戯るるさまを竺仙に立寄りて染出し、いずれの宴席に行くも酔いたるふりして一々脱ぎ居たり。」

現代の宴席でも充分ウケそうなくらい粋な演出ですよね。

こんな遊びに付き合う洒落の効いた初代が、どれだけ前衛的な発想をする人だったのかが伺えるお話です。

・会社概要
◆会社名:株式会社 竺仙
◆所在地:東京都中央区日本橋小舟町2番3号
高級浴衣・江戸小紋はじめ全染色着尺地・染帯・広巾生地・当社専属の織染工場への外注生産による創作オリジナル商品の生産・卸・販売
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監修:宮本芳彦
文責:林正勝